顧客満足度を知るためのネットプロモータースコア(NPS)の基礎
顧客ロイヤリティ(企業・ブランドへの愛着や信頼度)を調査する指標として、ネットプロモータースコアがよく用いられます。何やら難しそうな印象のある言葉ですが、シンプルな指標なので難しく考える必要はありません。ネットプロモータースコアの基礎をまとめましたので、顧客ロイヤリティ調査を考えている経営者はぜひお読みください。
ネットプロモータースコアとは?
ネットプロモータースコアは、顧客のロイヤルティを数値化するための指標のひとつで、NPSと略されます。企業に対する愛着や信頼度を表すための指標で、シンプルな方法であることから顧客ロイヤリティ調査に広く用いられています。
ネットプロモータースコアの調査方法
ネットプロモータースコアは顧客に1つの質問をし、推奨者の割合から批判者の割合を差し引いた数値で表します。最低ポイントは–100、最高ポイントは100です。
推奨者の割合(%) - 批判者の割合(%) = NPS
ネットプロモータースコアでは顧客に1つの質問を投げかけ、11段階で評価してもらいます。評価に応じて推奨者、中立者、批判者の3つのグループに分類します。
9〜10:推奨者
満足度の高い顧客。継続して製品・サービスを利用し、他の人にも勧めてくれることが期待できる。
7〜8:中立者
利用しているが満足しているわけではないため、場合によっては競合他社に乗り換える可能性がある。
0〜6:批判者
不満を抱いている顧客。批判的な意見や口コミを広める可能性がある。
「あなたはこの商品を友人に勧めたいと思いますか?」というような質問をし、「勧めたい(推奨者)」「どちらでもない(中立者)」「勧めたいない(批判者)」の3つのグループに分類します。
推奨者が50%で批判者が20%の場合、ネットプロモータースコアは30%です。反対に推奨者20%、批判者50%で批判者が上回っている場合は-30%となります。
ネットプロモータースコアを使うメリット
ネットプロモータースコアはシンプルな指標であるため、素早く算出できる点がメリットとして挙げられます。11段階の評価によって推奨者と批判者を分けることにより、顧客が企業やブランドにどういう印象を持っているかが分かります。
中立者が多い場合は、利用しているものの特別に企業やブランドに対する愛着があるわけではないため、どうすればリピーターになってくれるかを考える必要があります。批判者が多くネットプロモータースコアが低い場合は、根本的な改善が必要となってきます。
企業やブランドに対するイメージは捉えにくいものですが、ネットプロモータースコアで数値化することで現状が可視化できます。ネットプロモータースコアが増加することは企業の成長につながるので、顧客ロイヤリティを把握することは企業活動の改善に取り組むきっかけとなります。
ネットプロモータースコアの欠点
ネットプロモータースコアはシンプルな指標であるがゆえに、詳細な分析には向いていません。ネットプロモータースコアで質問するのは推奨するかどうかの質問であるため、推奨者、中立者、批判者の違いまでは可視化できないのが欠点といえます。
また、否定的な意見を持っていても「普通」や「どちらでもない」と評価する人が多い場合、批判者の数を誤ってしまう恐れがあります。日本人は意思表示が苦手という特性があるので、どうしても中立者が多くなってしまいます。
ネットプロモータースコアの利用の仕方
ネットプロモータースコアは、企業やブランドに対して顧客が抱いている印象を数値化するのに便利な指標です。推奨者が期待した数値でない場合、顧客は製品やサービスに何らかの不満を抱いていると解釈できます。 シンプルな指標なので細かい分析には向いていませんが、たった1つの質問をすればいいだけなので実行がしやすいのが魅力です。専門的な知識は必要ないので、まずはネットプロモータースコアから始めてみてはどうでしょう。