脱サラして開業するなら知っておくべき退職後の健康保険のこと

f:id:urj:20170331214035j:plain

脱サラして開業するなら、退職後の健康保険のことを考えておかなければなりません。健康保険の支払いを予算に組み込んでおかないと、退職後に高額な保険料の請求が来て困ることになります。

選択肢は2つ、国民健康保険に加入するか任意継続をするかです。どちらを選ぶべきかを判断するために、それぞれの特徴を解説します。

退職すると社会保険が使えなくなる

社会保険は「医療保険」「年金保険」「介護保険」を指す言葉ですが、一般的に会社で加入する「健康保険」と「厚生年金」を指すことが多いです。勤めている会社が社会保険に加入していれば必然的に加入することになります。

では退職したら社会保険はどうなのでしょうか?

退職したら社会保険の被保険者ではなくなるため、退職後は社会保険が使えなくなります。会社が社会保険の「資格喪失届」を提出し、手続きをしてくれるので従業員側は特にするべきことはありません。

社会保険は労使折半で毎月の給料から差し引かれているので気にする機会が少ないですが、退職すると健康保険をどうするか考えなければなりません。

退職後の健康保険の選択肢

f:id:urj:20170331214043j:plain

退職後の健康保険の選択肢は2つあります。ひとつは国民健康保険に加入する方法です。

転職をするなら就職先で社会保険に加入することになりますが、まだ転職が決まっていない、または起業する場合は国民健康保険に加入することになります。

国民健康保険の切り替えの期限は退職後14日以内、市区町村役場の窓口で手続きを行います。手続きには資格喪失連絡票など退職日が証明できるもの、身分証明書、印鑑が必要です。

もうひとつは社会保険を任意継続する方法です。資格喪失日までに健康保険の被保険者期間が継続して2ヵ月以上あった場合、これまで会社で加入していた社会保険を継続することができます。

任意継続をするには、資格喪失日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」の提出が必須です。20日を過ぎると手続きができなくなるので注意してください。

また、加入期間は2年間、納付期限までに納付しなかった場合は資格を喪失してしまうので、合わせて注意しましょう。手続きは協会けんぽ支部に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出して行います。

参考:任意継続の加入手続きについて

国民健康保険に加入すべきか、任意継続をすべきか

では、退職後は国民健康保険と任意継続のどちらに加入した方が得なのでしょうか?残念ながら、個人によって保険料が異なるため、一概にどちらが得であるかは断言できません。

社会保険は労使折半であるため今までは会社が半分負担してくれていましたが、任意継続した場合、全額自分で支払わなければならないので支払い保険料はこれまでの2倍になります。

一方、国民健康保険は前年度の所得にかかる仕組みになっているので、任意継続でこれまでの2倍の保険料を支払うよりも高くなってしまうかもしれません。

任意継続は2年間という期間があるものの、退職後、1年目にかかる国民健康保険料が高額である場合、任意継続をした方が保険料を安く抑えられる場合があります。

そのため、退職1年目を起業の準備期間とし、ほとんど収入がなかった場合、2年目の健康保険料はかなり安くなります。退職1年目に起業して収入を得た場合、その年の所得に応じた健康保険料が翌年度にかかります。

ただし、国民健康保険に切り替える、または家族の健康保険に加入するという事由で任意継続をやめることはできません。あえて納付をしないことで資格喪失するという手段もあるようですが、任意継続は基本的に2年です。

国民健康保険と任意継続のどちらが得であるかは、前年度の所得によって判断してください。

おわりに:退職前に健康保険のことも考えておこう

記事中で説明したように、国民健康保険は前年度の所得に応じた金額がかかります。再就職していようがいまいが関係なく、容赦なく徴収されます。

国民健康保険が高額である場合、退職後1年目の保険料の支払いはかなりきついです。任意継続の方が安く抑えられるなら、退職から2年は任意継続をするのもアリでしょう。

健康保険料の支払いも生活費の一部として予定しておかなければならないので、退職前に健康保険のことも考えておきましょう。

  • 独立起業の虎の巻PDFダウンロードはこちら