ニッチ市場を狙ってビジネスをするメリットとデメリット

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ビジネスには必ず市場というものが存在します。需要が多いけれど競争率が高い大きな市場、需要は少ないものの競合他社がいないニッチな市場、いずれを狙うのかで戦略が大きく変わってくるでしょう。

これから解説するニッチ市場を狙ってビジネスをするメリットとデメリットを踏まえ、どの市場に参入すべきかよく考えてみてください。

ニッチ市場とは

「ニッチ」は「隙間」や「適所」という意味の英単語です。

マーケティングの分野では「市場の隙間」という意味で用いられており、建築用語では「壁の一部をくぼませた部分」を「ニッチ」と呼びます。

マーケティングでいう「市場の隙間」は需要が少ない小さな市場、または商品やサービスの提供が行われていない市場のことです。多くの企業が参入している大きな市場の「隙間」に隠れた小さな市場を「ニッチ市場」と呼びます。

ニッチ市場を狙ったビジネスのメリット

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競合が少ない

ニッチ市場は競合が少ないため、シェアを獲得しやすい点がメリットとして挙げられます。

大きな市場は需要の多さに比例して参入している企業が多くなるため、必然的に競争率が高くなりがちです。中小企業がすでに大きなシェアを獲得している大企業に打ち勝つのは容易ではありません。

その点、大企業が参入していないニッチ市場は中小企業でもシェアを獲得できる可能性が高く、激しいシェア争いに巻き込まれずに済みます。

高収益が見込める

ニッチ市場は他に参入している企業が少ない、または自社以外にいないため、自社の希望する価格で商品を売ることが可能です。高収益が見込めるのもニッチ市場のメリットのひとつで、代替する商品・サービスがない状況では顧客は少々価格が高くても購入してくれます。

もちろんその価格に見合うだけの商品・サービスであると顧客が感じることが前提です。ニッチ市場で競合が少ないからといってむやみに価格を上げると買ってもらえなくなります。

ニッチ市場は需要が少ないゆえに、どうしても商品・サービスの単価を上げざるを得ないという事情もありますので、バランスを考えて価格設定をするように意識しましょう。

価格競争(値下げ競争)に巻き込まれない

競争率が高い大きな市場では価格競争(値下げ競争)が起こり、値下げのしすぎで参入企業が共倒れしてしまうこともあります。ニッチ市場は競合自体が少ない、またはいないため、そうした値下げ競争に巻き込まれずに済みやすいです。

ひとつの企業が値下げをし始めると否応なく他の企業も値下げせざるを得ず、値下げが激化していくと引っ込みがつかなくなります。値下げで引きつけた顧客は値上げや元の価格に戻した途端に離れていってしまうため、本当の意味での顧客化にはつながりません。

価格競争を避けるには商品やサービスの質で顧客を引きつけることが大事ですが、最初からニッチ市場でビジネスをすれば価格競争に巻き込まれる心配が少なくなります。ニッチ市場では値下げで引きつけるより商品やサービスの質で引きつけることに注力できるため、よいモノを適正価格で提供できるというのがメリットです。

ニッチ市場を狙ったビジネスのデメリット

市場規模が広がると競争を余儀なくされる

ニッチ市場は競合が少ないことがメリットでありますが、市場規模が広がると一般市場に変わって競争を余儀なくされます。市場が広がると売上を伸ばすチャンスが広がる反面、参入企業が増えて価格競争に巻き込まれてしまうこともあるでしょう。

いわばニッチ市場は限定的な市場の中で売上を得る戦略です。市場が広がると独占状態を維持するのが難しくなります。

市場の拡大は悪いことではありませんが、大企業の参入によってシェアが奪われるリスクが発生することを覚えておきましょう。

一方、他社が真似できない技術をもってしてニッチ市場でシェアを獲得していたのなら、大企業といえどもそうそうシェアを奪うことはできません。ニッチ市場であることに安心せず、将来の市場の拡大に備えて後発企業が容易に参入できない技術力やブランド力を確立しておく必要があります。

市場自体が消滅するリスクがある

市場の拡大によってシェアが奪われるリスクとは反対に、ニッチ市場は需要がなくなって市場自体が消滅するリスクもあります。市場が消滅してしまってはどうしようもないので、ニッチ市場に参入するなら市場の将来性を予測しておかなければなりません。

またはひとつの市場が消滅してもいいように、複数のニッチ市場に参入するのも戦略のひとつです。ニッチ市場はそうそう簡単に見つけられるものではありませんが、自社の技術を他分野で活かせないかを考えるなど、視野を広く持って市場を開拓してみましょう。

おわりに

ニッチ市場でシェアを獲得できればそれは大きな強みになります。中小企業は競争率の高い市場に参入するより、ニッチ市場を狙った方が高収益を期待できるかもしれません。

一般市場だけでなく、ニッチ市場も視野に入れてビジネスを考えてみましょう。

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