コンビニドーナツが苦戦している理由とこれからの展望

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コンビニ各社がドーナツ市場に参入したものの、大きな成功には至っていません。コンビニコーヒーのヒットに続いて成功するかに思えたコンビニドーナツが苦戦しているのはなぜでしょうか?

本記事ではその理由を紐解いてみたいと思います。

コンビニドーナツの始まり

最初にドーナツ市場に参入したのはセブン-イレブンでした。2014年にセブン−イレブンは「セブンカフェドーナツ」を始め、続いてローソンやファミリーマートもドーナツを販売するようになりました。

セブン−イレブンとローソンではレジカウンターの横にドーナツを置き、手に取りやすいようにしています。ファミリーマートはパン売り場にドーナツコーナーを設けており、コンビニよって置き場所が異なります。

コンビニドーナツの狙い

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各社がコンビニドーナツを販売し始めた狙いは、コーヒーの“ついで買い"です。大成功を収めた挽き立てコーヒーのお供にドーナツを買ってもらうのが各社共通の狙いでした。

ドーナツの"ついで買い"が成功すれば、コーヒーの売上にプラスアルファが期待できるというわけです。

狙いが外れた"ついで買い"

「コーヒーの"ついで買い"にドーナツを」という考えは戦略としては至極まっとうですし、成功する可能性もあったでしょう。しかし、コンビニ各社が期待したような売上は得られませんでした。 それはなぜでしょうか?

コンビニ側の狙いとしては"ついで買い"で売上げアップを狙ったものの、パンやサンドイッチがドーナツに変わっただけで大した売上増にはつながらなかったのです。

よくよく考えれば、これまでコーヒーとパン・サンドイッチを買っていた人が、さらに追加でドーナツを買うとは考えにくいですよね。ドーナツを買うなら一品減らそうと考える人がほとんどでしょう。

つまり、コンビニドーナツはパンやサンドイッチなどの他の商品とカニバリゼーション(共食い)を起こし、売上増につながらなかったというのが大きな理由です。また、レジカウンター横に置いてある食べ物は出来たてであることが多いですが、ドーナツは作り置きされているため、出来たてではないというがっかり感も失敗のひとつの原因と考えられます。

コーヒーは淹れたてを提供できますが、ドーナツは出来たてを提供するのが難しいという理由がありますが。

ドーナツ市場の苦戦も失敗の要因

コンビニドーナツが失敗した原因は、ついで買いの目論見が外れただけではありません。 ドーナツ市場自体が苦戦している状況にあるため、コンビニドーナツが売れないのも当然といえます。

日本の最大手ドーナツチェーン店・ミスタードーナツは経営危機が続いており、どんどん店舗数が減っている状況にあります。日本に上陸した当初は行列ができていたクリスピー・クリーム・ドーナツも、相次いで閉店しています。

日本のドーナツ市場の減退が続いている現在、コンビニドーナツという目新しさだけでは売上アップを持続させるのは難しい状況です。飛び抜けて美味しいドーナツが開発されれば状況が変わるかもしれませんが、今のところ大きな話題になっているコンビニドーナツはありません。

コンビニドーナツの今後の展望

ローソンは2009年に発売開始した「プレミアムロールケーキ」を成功させ、セブン-イレブンは「セブンプレミアム」や本格的な味にこだわった「セブンゴールド」を成功させた経験があります。

過去のブランディングの成功例から考えると、今後のコンビニドーナツは、各社のブランド戦略がカギになると言えるでしょう。

今はまだコンビニでドーナツを売っているというイメージしか持っていない方が多い思いますが、質や素材にこだわった本格的なドーナツ、ターゲットを明確にしたドーナツが求められているのかもしれません。

ミスタードーナツがポン・デ・リングでドーナツ界に大きな一石を投じたように、コンビニ各社には自社オリジナルのドーナツが求められるでしょう。コンビニドーナツが始まったまだ2年ほどしか経っていないので、今後各社がどのような戦略を打ち立てるのか要注目です。

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