顧客の本当のニーズを理解するために学んでおきたい「ジョブ理論」

f:id:urj:20170312220445j:plain

顧客の立場になって考えているつもりでも、実際に顧客のニーズを理解できているかどうかは別です。そこで本記事では、顧客の本当のニーズを理解する上で役に立つ「ジョブ理論」という考え方をご紹介します。

「ジョブ理論」はマーケティングを行う上で非常に重要となるので、この機会にぜひ学んでおきましょう。決して難しい理論ではないので、身構えずにお読みいただければと思います。

ジョブ理論とは

「ジョブ理論(Jobs to be Done)」はハーバードビジネススクールの教授でイノベーション理論として知られるクレイトン・クリステンセン氏が提唱した理論で、マーケティング活動を行う上での重要な考え方となっています。

「ジョブ理論」は「ジョブ(仕事)」を成し遂げるために顧客は商品を購入する、という考え方です。この「ジョブ」は職業としての「仕事」という意味ではなく、「歯を磨く」「料理を作る」「洗濯物をする」といった日常生活の行動を指します。

顧客は商品そのものが欲しいのではなく、「ジョブ(仕事)」を完遂するために購入している、というのが「ジョブ理論」の考え方です。商品開発やマーケティングを行う上で「ジョブ」をベースに考えます。

マーケティングには「ドリルを買う人が欲しいのはドリルではなく穴である」という有名な格言をご存知でしょうか。「ジョブ理論」もこの格言に当てはまる考え方で、顧客はドリル自体を求めているのではなく、穴を開けるという「ジョブ」を完遂するためにドリルを買う、と考えます。

ドリルをコレクションしているというなら別ですが、多くの顧客は穴を開けるためのドリルを欲しているのです。

さらに掘り下げて考えてみると、穴を開けることが「目的」ならばドリルでなくともかまいません。穴を開けられるなら、キリでも千枚通しでもいいわけです。しかし、硬い木材や太い木材だとキリや千枚通しでは穴を開けるのが困難で、電動ドリルの方が楽に穴を開けられます。

また、楽に穴を開けられるドリル、安価で購入できるドリル、携帯性に優れたドリルなど、目的によって顧客のニーズが変化しているところにも注目です。「ジョブ理論」はこうした顧客が行いたいこと=「ジョブ」をベースに考える理論となっています。

顧客の本当のニーズを「ジョブ」に置き換えて考えてみる

f:id:urj:20170312220555j:plain

では「ジョブ理論」を元に、顧客の本当のニーズを「ジョブ」に置き換えて考えてみましょう。

日常生活の中に「ジョブ」のヒントがたくさん落ちています。朝の時間帯ひとつとっても「朝起きて歯を磨く」「朝ごはんを食べる」「髪を整える」「靴を履く」など、さまざまな「ジョブ」がありますよね。

「靴を履く」という「ジョブ」を完遂するための靴べらが欲しい、と考えている人をターゲットに商品開発をすると仮定して、いくつかパターンを考えてみましょう。

・自宅の玄関で使う用の長い靴べらが欲しい
・ブーツをスムーズに履ける靴べらが欲しい
・外でも使える携帯用の靴べらが欲しい
・人に見られても恥ずかしくないようにデザインにもこだわった靴べらが欲しい

同じ靴べらでも顧客のニーズによって商品開発の方向性が変わってきます。

2番目の「ブーツをスムーズに履ける靴べらが欲しい」という目的の場合、通常の靴べらではブーツに使いにくいという人のために、ブーツ用の靴べら「ブーツホーン」を開発するという選択肢も考えられますし、靴べらにこだわらず、靴を楽に履ける新しい道具を開発するという選択肢もあります。

このように顧客が完遂したい「ジョブ」に注目することにより、顧客のニーズを浮き彫りにすることが、ビジネスには大切なのです。

顧客の本当のニーズを理解している企業は少ない

マーケティングを行う上で顧客が何を求めているかを分析することは必須ですが、顧客の本当のニーズを理解している企業は多くありません。商品だけに着目すると顧客が完遂したい「ジョブ」を見落としてしまいます。

「ジョブ理論」は、その考え方に基づいて顧客が完遂したい「ジョブ」を見つけだすことにより、顧客の本当のニーズが理解できる可能性が高まると思ってください。顧客のニーズを考えて消費開発を行なっているのに売上が伸びないと悩んでいる企業は、顧客がどんな「ジョブ」を完遂するために商品を購入するのか考えてみましょう。

おわりに

顧客は「ジョブ」を完遂する手段として商品を購入するわけですから、「ジョブ」に目を向けなければ顧客のニーズを満たす商品になりません。

「ジョブ理論」を理解し、商品開発やマーケティングにぜひ活かしてください。

  • 独立起業の虎の巻PDFダウンロードはこちら