非合理な選択をしないために経営者が理解すべきサンクコスト(埋没費用)

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ビジネスをしていれば損をすることはたくさんありますが、損失に囚われて非合理な判断をしてしまうともっと大きな損失を生んでしまいます。利益を生み出さない投資であるならば、「サンクコスト(埋没費用)」として切り捨て、損失を抑えたほうがいいでしょう。

つまり、ビジネスをする上で「サンクコスト」を理解することは非常に重要で、経営者なら必ず学んでおきたい考え方です。

サンクコスト(埋没費用)とは

「サンクコスト」は日本語で「埋没費用」と訳される言葉で、投じた費用や労力のうち、戻ってこない費用・労力を指します。事業や投資の世界で使われる言葉で、投じた費用や労力に対する見返りが少ないと「もったいない」という思考に陥り、効果の薄い追加投資をしてさらなる損失を生んでしまうのです。

株式投資をされたことがある方はよく分かると思いますが、投資の世界では損失の拡大を防ぐために「損切り」をしなければなりません。損をした分を取り返そうと思うほど損失が膨らみ、最初に損をした額と比べ物にならないくらいの損失を生んでしまうことがあります。

ビジネスの世界も同じで、投資費用に対する利益が少ない場合、さらなる投資をして取り返そうとした結果、想定していたよりも大きな損失を生んで会社の経営自体が危うくなってしまうこともあるということです。

サンクコストに囚われて非合理な選択をしてはいけない

たとえば100万円を投じて出稿した広告が思うような集客効果を得られなかったとします。集客がうまくいかなかった原因は広告のデザインにあるにもかかわらず、「100万円を費やしたのだから」と考え、同じデザインの広告にさらに100万円を投資すると損失が増えるだけです。

このように投資した費用・労力に見合った利益が得られていない場合、「これだけ支払ったのだから」という思考が働き、サンクコストに囚われて非合意な判断をしてしまいます。上記の例では見直すべきは広告のデザインであるのに、広告デザインにかけた費用=サンクコストをもったいないという考えが、さらなる損失を生む原因になるのです。

サンクコストを授業料と考える

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サンクコストに囚われてはいけないと分かってはいるものの、どうしても「もったいない」と考えてしまうときがあります。そんな時は「このサンクコストは授業料だった」と考えてみてください。

高い授業料であったとしても、その失敗から学ぶことが大きければ次の機会に活かすことができます。100万円の損失が発生してもその失敗から学んだことにより、次の機会で1,000万円の利益を得られればサンクコストも無駄にはなりません。

利益が出るまで時間がかかるビジネスもあるので、すぐに切り捨てることが正しい判断というわけではありませんが、うまくいきそうにもないビジネスに投資し続けることは合理的であるとは言い難いものです。

サンクコストであるのかそうでないかを見極めるには、「もったいない」や「これだけ投資したのだから」という感情で判断するのではなく、状況を冷静に分析して客観的に判断するようにしましょう。

過去に支払ったお金や費やした時間は帰ってこない

時間を取り戻せないように、過去に支払ったお金を取り戻すことはできません。返金や還付金で取り戻せることもありますが、多くの場合は戻ってきません。

支払った費用に見合うだけの利益が得られれば費やした価値がありますが、必ずしもそうはならないのがビジネスです。あの時に損をしたお金があれば、無駄に浪費したあの時間があったら…と後悔する時間こそが無駄になります。

サンクコストはビジネスだけでなく、日常生活でも生じるものです。せっかく高いお金を出して買ったのだからと、肌に合わない化粧品を使い続けるのは肌に良くありません。

ほかにも、授業料がもったいないからと自分に合っていないスクールに通い続けても得られるものは少ないですし、自分にとって役に立たないものなら時間を無駄にしてしまいます。

こうしたサンクコストの失敗はすでに支払ったお金に対する執着からくるもので、過去に支払ったお金は帰ってこないと割り切ることが大切です。ビジネスにしろ日常生活にしろ、期待した結果を得られないことは数え切れないくらいあるのですから、いちいち囚われていては先へ進めません。

いずれにしても、やってみなければ分からないこと、買ってみなければ分からない物もたくさんあるので、トライする精神を失わないでください。失敗した時は状況と結果をよく分析し、継続すべきか切り捨てて新しい方向にシフトするべきかを合理的に判断しましょう。

おわりに

サンクコストは口で説明するのは簡単ですが、実際に損切りをするべきかの判断を迫られるとそう簡単には割り切れませんよね。

サンクコストで失敗しないようにするために、過去に囚われて非合理な判断をするのではなく、未来のために合理的な判断をすべきだということを忘れないでおきましょう。

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